歯周病菌が糖尿病を悪化させる理由
歯周病菌は、腫れた歯肉から血液中に紛れ全身を巡ります。
通常、血液に入った細菌は体の力で死滅しますが、
歯周病菌の死骸が持つ内毒素は生き残るため血糖値に悪影響を及ぼすのです。
この内毒素は、脂肪組織や肝臓からTNF-α(炎症性の特殊なたんぱく質)を作りだします。
これがインスリン(血糖値をコントロールするホルモン)の働きを妨げるのです。
また、生活面でも歯周病は糖尿病を悪化させます。
【歯周病が招く糖尿病悪化の過程】
歯周病が進行して、歯ぐきが腫れたり歯がグラグラするようになる
↓
噛む痛みや歯が抜けることで噛む力が1/4~1/6程度に低下する
↓
噛めないから、軟らかいものを好むようになる(パターン①)
噛めないから、噛まずに飲み込んだりするようになる(パターン②)
【パターン①】
軟らかいものは糖質や脂質が多量に含む上、噛むことで得る満腹感が少ないため早食い、大食いになる
↓
栄養状態が悪化
↓
糖尿病が悪化する
【パターン②】
噛まないことで、口の中の刺激が減り唾液量が減る
↓
唾液による抗菌作用が減り、口内の細菌が増える
↓
歯周病や虫歯が発生、進行しやすくなる
歯周病と糖尿病の治療は連動する
上記で糖尿病の方が歯周病になるリスクについてご説明しましたが
歯周病の治療をすることで血糖値のコントロールに改善が見られることも報告されています。
特に2型糖尿病の方に関しては、歯周病治療によってインスリン抵抗性が改善することなどが報告されており、
糖尿病の方の歯周病治療が重要であると認識されてきています。
決して諦めずに歯周病治療に取り組むことは、糖尿病による悪循環から抜け出す手立てなのです。
歯周病と糖尿病についてご理解いただけたでしょうか。
少しでもこれを読んだ方が歯周病予防への意識を強めていただけたらと願っております。