歯周病コラム
歯周病と糖尿病 糖尿病の仕組みと種類
歯周病と深く関わっている糖尿病。
歯周病予防の意識を持っていただくためにも、詳しく糖尿病についてご説明します。
前回、糖尿病とは「糖代謝の異常」とお伝えしました。
今回はこの糖代謝についてとは何なのか、またより詳しく糖尿病の種類をご説明します。
糖代謝の異常=血糖値が高い
一般的に糖尿病とは、「血糖値が高い状態」と言われます。
この血糖値とは、血液中にブドウ糖がどのくらいあるのかを表す値です。
このブドウ糖が細胞内に取り込まれないと血液中に大量にブドウ糖が残り続けるため、血糖値が上がるのです。
これが「糖が代謝されていない(糖代謝の異常)」=「血糖値が高い」ということです。
血糖値を調整するインスリン
人間は、インスリンという血糖を下げるホルモンによって血糖値を調整しています。
これはすい臓から放出されるホルモンで、体内で唯一血糖値を上げたり下げたりする働きを持っています。
また、ブドウ糖を細胞に送り込んで活動エネルギーに変えたり、脂肪やグリコーゲンに変えて蓄積したりとブドウ糖の管理もしています。
そのためインスリンが不足すると、糖尿病を引き起こす大問題になるのです。
糖尿病の種類
上記の通り、糖尿病のファクターとして「インスリン」をご紹介しましたが、実際には数種類あります。
① 1型糖尿病
日本人の1万人に約1人がこの病を抱えています。
急激に発症する場合が多く、自己免疫の異常でインスリンを合成する細胞が破壊され、インスリンが欠乏して高血糖になります。8 ~ 12 歳ころの発症が多いのですが、最近では幼児や成人にも発症がみられます。
② 2型糖尿病
現在、患者数が急激に増加しているタイプで糖尿病の 98% 以上の方がこの2型糖尿病です。
40 歳以降に起こりやすいのですが、最近では 50 歳以上の方も増えてきています。
インスリン分泌の低下やインスリンの抵抗性によって骨格筋などでの糖の利用が悪くなり高血糖を招きます。
多因子遺伝で、家族性に起こり、ゆっくりと発症するためいつから糖尿病になったのかわからない場合もあります。
③ 別の疾患に伴う糖尿病
別の疾患(内分泌疾患、膵疾患、肝疾患、 ステロイド薬服用)に伴った発症や、遺伝子異常が突き止められた糖尿病(MODY、ミトコンドリア糖尿病)もあります。
【代表的な疾患】
- 膵疾患(アルコールの過剰摂取などですい臓が破壊されて、1型糖尿病と 同じインスリン治療が必要になる)
- クッシング病、クッシング症候群(糖質ステロイドが過剰になる)
- 先端巨大症(成長ホルモンが過剰になる)
- 褐色細胞腫(副腎髄質の腫瘍からカテコラミンが過剰に分泌される) など
④ 妊娠糖尿病(GDM)
妊娠中に女性ホルモンなどの影響で耐糖能が悪化して、糖尿病になる場合があります。
出産後に正常に戻ることが多いのですが、妊娠糖尿病になると将来糖尿病を発症しやすくなります。
糖尿病にも様々な種類・要因があることがお分かりいただけたと思います。
次回は、この糖尿病が歯科とどのように関係するのかをお伝えします。